公開日: 2020年4月6日 - 最終更新日: 2020年4月13日

大自然の摂理とは?<2/2>

JAPAN BONSAI 編集部
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土に還る廃棄物まで焼却処分してしまう現代の日本。だから日本人はひ弱になったと葉坂氏は力説する。葉坂氏の言葉からは、「盆栽道」的なインスピレーションを得た。

後編:ミネラルバランスの優れた「命の土」

盆栽との出会い

ハザカプラントが生産した堆肥を使って収穫された作物は、栄養成分や香気成分に優れ、ミネラルバランスも良好だ。人はミネラルが欠如すると、頭がカリカリしがち。食べ物が良いと、心も和むのだ。

日本人が育んできた和の心。それはミネラルバランスの優れた「命の土」で作った作物を食す生活スタイルにより、高い免疫力、深い知恵、そして気概のある健康な身体により生み出されてきたと言っても過言ではない。

そんな持論を展開する葉坂氏が盆栽と出会ったのは約50年前、23歳ぐらいのときだ。さつきの鉢植えが最初だという。そこから盆栽の世界に入り、盆栽に救われてきた。

私のところには、世の中でつま弾きにされた盆栽が集まってくるんだよね。そういう盆栽でも、何百年も生きている。ここまで永らえてきても、人から見てもらえない。相手にされない。悔しくないか、お前たち。ここまで生きてきて、人間社会から弾かれて…。なんとかなりたいよな。そんな風に自分に置き換えて盆栽を見ていると、ある日突然、「ここをこうやったらいいんじゃないかな」と分かるんだよね。盆栽がニコニコ笑顔を見せて語り掛けるんだよね。そうしたら病みつきになった。どんどん盆栽にのめり込んでいった。仕事をしていれば、嬉しいときも悲しいときもある。どんなときも盆栽に向き合いました。盆栽を見ていると、涙がポロポロこぼれてくることがあるんです。盆栽に笑われてるんじゃないか。盆栽からすれば、私なんてガキみたいなもんじゃないか。そうだよな。そんな風に盆栽に笑われ、盆栽と会話しながら、ここまで歩んできました。

土に還るものは、正しく土に還す

会社を長く経営していれば、山あり谷あり。どんなときでも盆栽が心の支えになったのだ。さて、葉坂氏はどんな盆栽に惹かれ、盆栽を見ながら何を考えているのだろうか?

私は皆さんが考えているような盆栽の見方をしていません。高い安い、誰が持っていたなんて、まったく関係ない。縁があって私のところにきたのだから、世に出て、足蹴にされないものになればいい。せめて国風※あたりに出しても、黙って選ばれるようなものにしてあげたい。ただそれだけです。

盆栽の生きるっていう根性に、人間は足元にも及びません。盆栽の凄さ、大自然の生命力。それと比べたら、人間はうぬぼれもいいところ。新型コロナウイルスは、きっと昔からいたんだよね。焼却炉で何でも燃やすから強いバクテリアがいなくなり、弱い物いじめをするバクテリアがはびこっていると思う。

いま、病院は具合いの悪い人で溢れています。果たして「健康で文化的な最低限な生活」を送れているのか疑問です。私たちはいまこそ日本人の先祖が残した知恵、土に還るものは正しく土に還し、命ある土から生まれたミネラルバランスのとれた作物を食す生活スタイルを世界に広めていきたいと強く願っております。

※国風(国風盆栽展):日本最古の歴史を有する盆栽展。日本で最もレベルと格調の高い盆栽展として海外でも広く知られている。

インタビュー後に、葉坂氏の盆栽とコレクションを拝見する機会を得た。広大な敷地に、盆栽を寒さから守る巨大な温室がふたつ。中には大品、中品とりまぜ、およそ500はあろうか。取材時はまだ雪がちらつく季節だったが、春になれば外に並べるという。この他、作業部屋、鉢や卓などを収納する倉庫など、もはや個人の域を脱するスケールだ。ちなみに、敷地内には自然の滝があり、そうかと思えば孔雀が自由に遊んでいたりする。

神道、華道、茶道、さらには武士道、剣道、柔道、弓道など、日本人は「道」という言葉をよく使う。まだ「盆栽道」という言葉は生まれていないが、葉坂氏の言葉からは盆栽を媒体にして自然、さらには人生の悟りを開こうする強い意志が感じられた。

葉坂氏がこの地に移り住んで約5年。今日も盆栽を愛でながら、大自然の偉大さを噛みしめている。

Profile
葉坂 勝
宮城県出身。1976(昭和51)年、ハザカプラントを開発し、県南衛生工業を個人開業。1981(昭和56)年、株式会社県南衛生工業として法人化。同社代表取締役。約50年前より盆栽をはじめ、日本宝樹会の会長も務めている。

 

 

< 取材後記 >

取材から1ヶ月ほど経て原稿を確認いただくために再訪した。以前に来た時は小雪が舞う寒々とした日だったが、今回はまるで5月のような清々しい陽気。敷地内にはミツバツツジが見事に咲き誇っている。春を彩る可憐な薄紫色の花の前には、前回ハウス内にあった松柏類の盆栽達も屋外で嬉しそうに日の光を浴びていた。世間では緊急事態宣言がいつ発令されるのか? との話題でもちきりだったが、まるで桃源郷のごとく別世界のように思えた。葉坂氏は原稿に一通り目を通すと「この記事は英語になるのかな」と質問された。「これは、今まさに皆が必要としてる事だから、ぜひ英語にして世界に発信して欲しい」と。ハザカプラントの堆肥(バクテリア)は動物(人間含む)と植物には無害だが、細菌やウイルスは分解してしまう。新型コロナにも有用のようで、現在マスクのフィルターとしての商品開発を進めているとのことだ。

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