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芸術性の高い日本文化として海外でも注目を集めている盆栽。 日本では、出入国管理及び難民認定法をもとに、外国人の適正な在留の確保のため、中長期間在留外国人の在留状況を継続的に把握する在留資格制度があります。外国人は何かしらの在留資格を取得して日本に在留します。 盆栽を学びたい外国人が取得する在留資格として「文化活動」があります。 一方で、農業分野では、技能実習生として働きながら学ぶ外国人がいます。「技能実習」は、開発途上国または地域等の青壮年を一定期間受け入れ、技能を修得することを可能とし、帰国後に我が国において修得した技能を活用することにより、開発途上国または地域等の発展に寄与する「人づくり」に貢献するという、技能移転が本来の趣旨です。
財務省「貿易統計」によると、平成28年(2016)年の花きの輸出額は、前年比8%増加の88億円で、そのうち80億円を植木・盆栽が占めています。欧州を中心に愛好家が増加しており、海外での生産も普及しつつあるなか、日本の盆栽に魅力を感じる外国人が本場の日本で盆栽を学びたいと来日するケースもあります。
そのような外国人を受け入れる場合、どのようなことに注意が必要でしょうか。在留資格制度
文化活動
「文化活動」は、収入の伴わない学術上、芸術上の活動または我が国特有の文化、技芸について専門的な研究を行い、専門家の指導を受けてこれを修得する活動で、有名な盆栽家について弟子として指導を受ける場合に取得する在留資格です。
活動の内容が、①収入を伴わない学術上もしくは芸術上の活動、②日本特有の文化または技芸についての専門的な研究活動、③専門家の指導を受けて、日本特有の文化または技芸を修得する活動のいずれかであること、在留期間中の経費支弁方法があること、指導する側である専門家にも、指導するだけの知識や技術、実績などがあることという要件があります。
「文化活動」は就労が認められていない在留資格のため、収入を得ることができません。生活費やその他の必要な経費を補う目的のアルバイトやパートも限定的です。技能実習
今後、海外での展開が期待される盆栽業のニーズと合致するような制度ですが、技能実習の対象職種は80職種144作業で、農業だと2職種6作業が対象となっています。具体的には、耕種農業と畜産農業とあり、耕種農業では、施設園芸、畑作・野菜、果樹が指定されています。対象となる作物・生産物も細かく列挙されており、耕種農業で生産される作物例の中に、⑤草花 1 切り花 2 鉢物とありますが、(盆栽を除く)となっており、現時点では、盆栽業は技能実習制度を利用できない職種となっています。
対象職種については、業界団体の要望により追加されるケースもあります。今後、対象職種に盆栽が追加され、技能実習生として盆栽を働きながら学ぶ外国人が増え、盆栽が海外で独自に発展することにより、世界の盆栽市場が拡大することが期待されます。