盆栽用語

言葉の意味を知れば、理解もより深まります。

火山灰土の中から選別された園芸用土。鉄分が酸化した赤褐色の土で、団粒構造(粒状)になっているため保水性・排水性に優れ、園芸全般に広く用いられる。

大豆、菜種など油脂作物から油分を取った残りかす。チッ素分を多く含み、完全発酵させたものが園芸、盆栽用の肥料に用いられる。

樹皮が荒れやすい性質を持った樹種のこと。

素材段階の種木(たねぎ)。「荒木」「粗木」とも書く。

樹形のひとつで、倒れた幹から枝が立ち上がって幹のように生長した樹形。

樹形のひとつで、野趣、自然味を高めるため石に植え付けた盆栽のこと。=石付け。

春に芽を吹いて枝へと生長したもの。=新梢(しんしょう)。新梢は春の芽出しから伸長が止まるまでをいい、夏の終わりから秋、冬、翌春の芽吹き前までが1年枝。翌年、新たに新梢が伸びてくると2年枝になる。

根元に一番近い主要な枝のこと。もっとも太く長い枝であることが多い。上に向かって順に二の枝、三の枝となる。

樹姿の調和、バランスを乱す原因となりやすい枝のこと。剪定の対象。

  1. 絡み枝(からみえだ)

    枝が互いに交差した状態。=交差枝。

  2. 逆枝(さかえだ)

    通常、枝は幹に対して外側に伸びるが、途中から逆方向(幹に向かう)に伸びた枝。

  3. 立ち枝(たちえだ)

    上向き枝。枝から垂直に立ち上がる枝。

  4. 閂枝(かんぬきえだ)

    前後または左右に一直線に開いて出ている枝。

  5. 平行枝(へいこうえだ)

    複数の枝が幹から同方向に並行して伸びる枝。

  6. 車枝(くるまえだ)

    幹の1カ所から3本以上の枝が車のスポーク状に伸びた状態。

盆栽(素材を含む)を鉢から取り出し、伸びた根を整理し、用土を新しくして再び鉢に植え込むこと。

鉢に盆栽を植え付けること。

鉢の形状のひとつで、縁が鉢の内側に入り込んだもの。

釉薬をかけず土の味を活かして焼いた焼締鉢のなかで、ややねずみ色を帯びた薄茶色のものを烏泥という。他に紫泥(しでい)、朱泥(しゅでい)、白泥(はくでい)、黒泥(こくでい)、桃花泥(とうかでい)などがある。

幹にできた傷跡などが腐り、大きな孔が開いたり空洞化したもの。

植物が丈を伸ばしたり幹枝を太らせて枝葉を繁茂させる生長。それに対して生殖生長は花実をならせるための生長のこと。

枝の付け根に吹いた芽のこと。=側芽(そくが)。多くの場合、不要芽となる。

枝の付き方や出方、茂り具合。調和がとれているものを「枝打ちが良い」という。これはあくまでも盆栽特有の表現であり、一般的に「枝打ち」は林業における枝を幹から切り落とす保育作業を意味する。

整枝や採光、通風目的で必要な枝だけを残し、不要な枝を切り取ること。=剪定。

樹木の枝の広がり具合。盆栽では枝の左右両端の幅をいう。=葉張り。

枝の姿形の調和を表し、調和がとれている場合「枝ぶりが良い」という。

枝や小枝が幹や枝から分かれる様子のこと。

完成した盆栽がそれ以上大きくならないよう、また樹姿が崩れないよう、伸びた枝を短く切り詰めること。=切り戻し剪定。

意図的に下垂させた主要な枝のこと。

花や実がついた後、消費された栄養分を樹に補給し、樹勢低下を防ぐためのチッ素分主体の施肥。

芯を切り詰めて他の枝を頭にしたり、植え付け角度や正面を変えたりして新たな姿に作り直すこと。枝枯れや折損などのアクシデントを受けて行う場合と、現在の樹姿に飽きてあえて行う場合とがある。

忌み枝のひとつで、幹や枝の分岐がカエルのU字形の脚に似たもの。

樹木の芽には花になり実になるものと、葉になり枝になるものがあり、そのうち将来花になる芽。一般的には「はなめ」ともいう。

分化とは生物の細胞、組織、器官の形態や機能が特殊化し、特異性が確立していくこと。盆栽樹種の花芽と葉芽への分化は夏になされることが多い。

萼の個々の部分が萼片。萼とは植物用語で花冠(花弁、またはその集まり)の外側の部分を指す。

オシベの葯(やく)を支える糸状の柄。

ひとつの花軸にいくつかの花がついている様子。

無機質の原料に化学的操作を施し、植物の生育に必要な3要素であるチッ素、リン酸、カリ成分のうち2つ以上を含んだ肥料。含有率は数字で表示される。

観賞するときに盆栽を載せる台や卓(しょく)のこと。

正面から見て、幹の片側に枝が集中して出ている様。当然バランスは悪くなるが、吹き流し樹形などあえて片枝に作る場合もある。

正面から見て根張りが左右どちらかだけ発達したもの。

移植してうまく根付くこと。挿し木で十分に発根した状態や、接ぎ木で穂の癒合がうまくいったときも「活着した」という。

過去の赤城山の噴火で群馬県から茨城県に至る広い地域に堆積した火山性軽石が風化した土。粒状で保水性・通気性に優れ、細粒は挿し木の床土に用いられる。特に栃木県の鹿沼付近で厚い層が見られることが名の由来。

樹皮の素質や状態のことで、錦性(にしきしょう)、荒皮性(あらかわしょう)、亀甲性(きっこうしょう)などと表現する。樹皮が荒れて古木感が出てくると「肌が来た」「古色がある」などと表現する。

効き目が緩やかな肥料。遅効性肥料ともいい、有機質の肥料に多い。

落葉樹が冬期に葉を落として枝だけの姿になった様。ケヤキ、モミジ、カエデ、シデ類などが代表的樹種。雑木ならではの細かな枝ほぐれが手に取るようにわかり、新緑や紅葉と並ぶ観賞期となる。

取り木の際、幹や枝に浅い切り込みを入れ、一定の幅で環状にぐるりと剥ぎ取ること。こうすると剝皮部の上方に新たな根が発生しやすくなる。

完成樹を観賞する際に使用する鉢。作り途中の樹は素焼きの「仕立たて鉢」で管理育成する。実際には仕立て鉢、仮観賞鉢、観賞鉢へと移行する場合が多い。

植物に水を与えること。=水やり。

忌み枝のひとつ。

盆栽の姿形。たたずまい。

アブラムシ類、カイガラムシ類など口が針状で、植物の樹液を吸飲する害虫。

盆栽に針金をかけるなどして曲がり具合や伸長する方向を変え、幹模様をつけたり枝ぶりを整えたりすること。

植物の根の根圏および細胞内に繁殖し、植物にはチッ素などを与え、樹木からは炭水化物などをもらって共生関係にある菌類。

盆栽の幹や枝の曲がり具合。

針金かけなどを行い、幹や枝に曲を付けること。樹木は手を入れないと上にまっすぐ伸びる性質があり、日当たりや通風を良くして育成を促進しながら、味わいのある姿にするための、植物の躾ともいえる大事な作業。

幹の曲折が多い盆栽。模様木の極端なもの。

幹枝を切ること。特に枝を短く切り詰めること。=「切り戻し」。

接ぎ木による繁殖方法のひとつ。台木の足元近くで、形成層にかかる程度に片側に切り込みを入れ、その切り込みに接ぎ穂を挿し込む。

剪定技術のひとつで、枝元にある芽の先の部分で枝を切り詰め、残した芽を伸ばして新たに小枝を作る方法。盆栽のサイズ維持には欠かせない手法。=切り込み、切り返し。

群馬県桐生周辺で産出する、鉄分が多く灰色で軽石状の砂を含んだ園芸用土。通気性・保水性に富み、粒子をふるい分けて赤玉土と混合することで用土の排水性が高くなる。

幹に食い付いたように生じた極端に短い枝で、細幹の文人木など味わい深い盆栽でよく見られる。

木本(もくほん)植物と違い、枯れた後に木質化した幹、枝などが残らない草本(そうほんや)草花を盆栽に仕立てたもの。

忌み枝のひとつ。

幹や根の肥大に関係する分裂組織。水が通る木部と、光合成などで得た有用な物質が通る師部の間にあり、細胞分裂の盛んな部分。繁殖方法のひとつである接ぎ木は、台木と穂木の形成層の接合により活着する。なお、師部を構成する管状組織の師管を通じ、葉の光合成で作られた養分が移動する。光合成とは、植物が二酸化炭素を取り入れ、生物自身の体に有用な物質に合成すること。

盆栽を観賞する際、見栄えを良くする目的で植え土を隠すための細かな粒の土。同じ目的で苔も用いられる。

花芽や果実が何年枝のどの位置につくかといった性質のこと。

河川、湿地などに自生していた植物(主にヨシ)その他が堆積してできた粘質のある土。繊維を多く含み、石付きや苔玉の用土に用いられる。

盆栽の基本樹形のひとつ。断崖絶壁にしがみつくように生える樹木の姿を表したもので、幹枝の下端が鉢の底より下に来る樹形。鉢底より垂れ下がらず、斜め下に張り出したものは「半懸崖」という。また、鉢の縁より下垂せず横になびいているものは「吹き流し」となる。

緑色の光合成色素を持つ植物は、光エネルギーを使って空気中の二酸化炭素と根より吸収した水から炭水化物を合成し酸素を放出する。その作用のこと。=炭酸同化作用。

忌み枝のひとつ。=絡み枝。

主幹があり、頂部が地上数メートル以上になる樹種のこと。20メートル以上が大高木。それより低い順に高木、小高木。園芸では樹高3 メートル以上を高木、3 メートル以内を低木と区別している。

樹の根元から上部の樹芯へ向かって徐々に細くなっていく様。コケ順が自然なほど大木に見える。

水を張った水盤などに鉢ごと浸し、鉢底の孔から水分を吸い上げさせる方法。夏場の水切れ防止策として有効。

枝や芽が前後左右交互に吹いて出て、お互いに方向を異にして伸びる性質。カエデ類やザクロなどが代表的樹種。

鉢底部の水ハケを良くするため用土の最下層に入れる大粒(直径7〜10ミリ程度)の用土。小品盆栽では3ミリ程度の粒を用いる。底土ともいう。

明治時代以前に中国から輸入した鉢。明治~大正期に入った鉢は「中渡り」、大正末から戦前までのものを「新渡」と区別する。

根の先端付近に密生する糸状の組織で、水分や養分を吸収する。

樹の根張りの芸のひとつ。癒着してひと塊になった根、あるいはなりかけている根の状態。

側根(そっこん)から生ずる細かい根。種子の胚の幼根が生長し、まっすぐ伸びる主根=直根(ちょっこん)になり、直根からは脇に出る側根が生じ、側根には細根、根毛が生じて養水分を吸収する。

忌み枝のひとつ。

ひと株に複数の色の花が交じって咲くこと。盆栽ではサツキ、ウメ、ボケなどで見られる。

枝のなかでも長く太い枝で、樹姿の調和、変化をつける枝。

繁殖法のひとつで、樹木の枝、葉、根などを切り取り、土に挿して発根させる手法。親木と同性質のものを殖やせる。

挿し木をするときに挿す枝。挿し穂を挿す用土は「挿し床」という。

繁殖法のひとつで、樹木や草花の新芽を切り取って土に挿し、根付かせる手法。

もともと少数の専門家が少量を生産して特定の愛好家を対象としていたものを、昭和40年代の初め、栃木県鹿沼地方の農業従事者によるビニールハウスを利用した促成栽培によって苗木の大量生産を行い、全国に普及させたことによって起きた流行。さらに、趣味と実益を兼ね備えた新花の発表はブームに拍車をかけ、当時、挿し芽苗1本が2万円相当で取引されるほどの高まりをみせた。ブームを代表する品種として「光の司」「淀の光」などがある。

病気の予防に用いる農薬。

自然災害や害虫の食害などにより、割れたり裂けたりして木質部が現れた状態の幹のこと。

1本の樹の根元から3本の幹が立ち上がった株立ち樹形のひとつ。または3本の株を寄せ植えにしたもの。

土壌が酸性のこと。化学肥料や農薬を多用すると酸性化しやすい。また日本のように雨量が多い地域では、土壌が酸性になりやすい。中和させるには草木灰や燻炭などを施す。

植物体内に含まれる炭素(C)とチッ素(N)量の割合。たとえば炭素100グラム、チッ素10グラムが含まれている場合のC/N比は10となる。若いうちの伸長(栄養)生長期には炭素率が低くチッ素率が高い。生殖生長期になると炭素率が高くチッ素率は低くなる。C/N率は季節によっても変化する。

受精がうまくなされず、発芽能力のない種子のこと。

同じ株、花の間で受粉が行われ受精すること。

同じ株の花粉では結実しないこと。自家受粉が行われても受精には至らず、結実しなかったり、結実しにくい性質のこと。ほかの個体あるいは種類の花粉での受精が必要。

盆栽を飾るときに主木の脇に「添え」として置く草もの盆栽。

幹枝をより旺盛に伸長肥大させる目的で、完成途上の盆栽を植える鉢のこと。樹勢を落とした樹の回復を図る際に、本鉢から仕立て鉢に移植することもしばしば行われる。

メシベの下のふくらんだ部分で、ここが果実になる。子房の中の「胚珠」が「種子」となる。

管理育成が良く、枝の間延びもなく樹姿が整っている盆栽のことをいう。

盆栽の基本形のひとつで、幹が直立せず、左右いずれかに傾いている樹形。

幹や枝が枯れ、木質部が白骨化した部分。松柏盆栽に多く見られ、人工的に樹皮を剥ぎ取って作ることもある。=シャリ。

1つの樹に両性花と単性花(雄花か雌花)をつける植物。

雄花と雌花がそれぞれ別の樹につき、雄木と雌木に分かれる植物。イチョウ、ウメモドキ、マユミなどが代表的樹種。

1つの樹に雄花と雌花をつける植物。

その樹が醸し出す風格や品格。年数を経て大木感や古木感が現れてくると「樹格が上がった」などと表現する。

株立ちや寄せ植えなど、複数の幹がある樹のなかで、もっとも高く太い幹のこと。

盆栽の頂部(頭部)の枝葉。林業関連用語では樹木の枝葉全体の輪郭のこと。

盆栽の形。自然樹の姿を元に直幹、模様木、株立ち、懸崖などに分類される。

樹木の根元から樹芯の頂点までの高さ。

種子の胚にある幼根が生長したもの。

幹の先端、頂点部分のこと。=頂部、芯。

その樹種が本来持っている性質。

個別の樹の生育(健康)状態。

赤っぽい色をした泥鉢(釉薬を使わない焼締鉢)。

葉の中央に走る大きな葉脈のこと。枝の維管束が葉に続いたもので、枝からの水分や養分を葉に送り、葉の光合成(炭酸同化作用)で作られた栄養分(糖)を枝や幹に送る役割をする。

樹木の年齢。年輪の数で数えられる。

実生や自然木から仕立てた盆栽のことで、挿し木、接ぎ木、取り木などの繁殖法、また別の個体の枝を接いだ枝接ぎも除く。盆栽では正木であることが評価のひとつとなる。

黒松、五葉松、真柏、杜松、スギ、ヒノキなどの常緑針葉樹盆栽の総称。樹性の強さと格式の高さから盆栽の代表格とされる。

一般に樹高20センチ以下の小ぶりな盆栽のこと。特に小さいものはミニ盆栽ともいう。

一年中緑色の葉をつけている広葉樹。葉の表面にクチクラ層による光沢があり、照葉樹ともいう。

冬に落葉せず、葉が1年以上ついている樹木のこと。

常緑で針状の葉を持つ樹木。盆栽の松柏類はこれにあたる。

盆栽の観賞時に用いられる脚のある台。高さ10センチ前後は「平卓(ひらしょく)」、30センチ前後は「中卓(ちゅうしょく)」、50センチから1 メートルほどのものは「高卓(こうしょく)」に分けられる。

盆栽の頂部。樹芯、「頭」ともいう。

枝が枯れて白骨化した部分。盆栽では、松柏類において古木感を出すため人工的に樹芯部や枝の樹皮を剥ぎ取って作る場合がある。また、不要な枝を切除する際、枝元を少し残して枝神とし古さや厳しさを表現する。=ジン。「シャリ」は幹の部分をいう。

今年伸びた枝。特に、春の芽出しから伸長が止まるまでを指していう。= 1年枝。

幹や枝が伸びて樹高が高くなる生長のこと。太くなる生長は「肥大生長」。

中国から輸入した鉢のうち、大正末期以降、戦前までのもの。明治時代以前は「古渡り」、明治中期から大正初期にかけてのものは「中渡り」という。

鉢土表面へ顆粒状の薬剤を散布し、水に溶けて鉢土に入りそれを根が吸い上げ、殺虫成分が植物に吸収され、その樹液を害虫が吸うことによって効果が得られる殺虫剤。

春から伸び出した枝の伸長が止まる頃になると柔らかな新葉も成葉になり、枝葉も硬化して伸びが止まることをいう。

針状あるいは鱗状の幅が狭くて硬い葉を持つ樹木で、常緑樹が多い。松類やスギ、ヒノキなどが代表的な樹種。

広く浅い陶磁製の鉢。石付き盆栽や水石を飾るのに用いる。

成分を水に溶かした肥料。=液肥。

800度前後の低めの温度で焼いた釉薬のかかっていない鉢。吸水性に優れており、作り途中の樹の培養に用いる。

剪定や針金かけを行って枝の形や向きを整えること。

花を咲かせ実をならせるために、花芽をつける生長のこと。

葉や枝、芽がついている部分が「節(ふし)」。節と節の間は節間。一般に節間は枝の先端に近いほど短くなる。剪定時に「2〜3節残して切る」などと表現する。

正しくは「綴化(てっか)」といい、突然変異により芽が異常に混んだ状態。盆栽では石化と呼ぶのが一般的。

葉や枝、芽がついている部分が「節(ふし)」。節と節の間が節間となる。

植物の栄養分となる肥料を与えること。

盆栽を想定する樹形に仕立てるため、あるいは完成した樹の姿を維持するために枝を切り詰めること。剪定によって枝数を増やすことができ、また大きくなってしまった樹を小さく作り変えることが可能になる。盆栽に限らず園芸全般において、もっとも基本的な手入れのひとつ。

1株の根元から2本の幹が立ち上がっているもの。株立ち樹形のひとつ。

松柏類以外の盆栽の総称。特に葉ものを指す場合もある。

樹木を木本(もくほん)というのに対する言葉。春に芽が出て、その年のうちに枯死するものは一年草、翌年枯死するものは越年草。地上部は枯れても地下部が多年にわたり生存するものは多年草。いずれも木部は発達せず、茎の肥大には限りがある。

葉の付け根にある芽のこと。=腋芽。

これから盆栽に仕立てる苗や粗木のこと。

接ぎ木を行う際、接ぎ穂を挿し込まれるほうの樹のこと。

異なる個体の花粉によって受精すること。

葉柄の基部に一対あり、生じたばかりの若い芽を保護する役割があるとされる。

根元から樹芯に向かって幹の太さがタケノコのように急激に細くなっている盆栽のこと。

盆栽の観賞点のひとつで、根元から一の枝に移るあたり。この部分の幹模様、コケ順の良否を表現する際に「立ち上がりが良い(悪い)」などという。

枯れた樹のシャリやジンに生きた苗木素材を添わせて作り替え、あたかも長年にわたって培養されてきた古木のように見せかけたもの。

盆栽に仕立てる元になる素材のこと。種木。

油かすなどを水で練り、玉状に固めて乾燥させた肥料。鉢土の上に置いて用いるので「置き肥え」ともいう。市販品も多い。

幹が1本だけの盆栽。

節間が短縮した枝で、年々ごくわずかしか伸びない枝。花ものや実ものでは、年数を経るにしたがって増えてくる短枝に花芽がつきやすい。

盆栽を観賞する際、鉢や水盤を載せる平らな敷き板。

枝(茎)の先端の芽のこと。

萌芽力や枝が伸長する勢いが先端ほど強い性質。高木に多い。

幹に曲がりがなく、まっすぐ直立した樹形。

種子の胚にある幼根が生長し、まっすぐ下に伸びたもの。そこから側根、細根、根毛と生じていく。

盆栽では一般に元肥えを与えず、必要な肥料分はその都度、追肥として与える。農・園芸分野では元肥えを与えた後、生育期間中必要な肥料を与えることをいう。

繁殖方法のひとつで、根のない枝または芽を根がある樹の幹や枝に挿し込み、お互いの形成層を癒合させる手法。

石付き盆栽に使われる石。

つるを伸ばす性質の植物。木本になる蔓植物を「藤本(とうほん)」という。盆栽ではツルウメモドキ、アケビ、ビナンカズラなどが代表的な蔓性樹種。

定まった位置につく頂芽と側芽。それ以外の芽は不定芽 という。

樹高数メートル以下の樹木のこと。多くがはっきりとした主幹がなく、太くもならず、株立ち状態になる。盆栽ではツツジやボケが代表的な低木。

釉薬を使わない焼締鉢。土味と色合いの渋さから松柏は泥鉢に植えるのが定石。

盆栽の主木に添えて置かれる小物、添配などを配して飾った風景。

殺菌、殺虫剤の散布時に、葉や茎の表面に薬が付着しやすくするために用いる薬剤(界面活性剤)。

盆栽の飾りにおいて景色を演出する金属や陶器、石などの小さな置き物。獣、鳥、人物、魚、虫、建物、仏像などモチーフはいろいろ。

越冬し、翌年になって萌芽する芽。「ふゆめ」ともいう。

鉢の胴部の飾りのひとつ。紐を巻いたような形をしたもの。

幹や枝に生じた不定芽 。あるいは、それが伸び出したもの。

土の体積を100として、その中に含まれる水や空気の体積の割合を数字で表したもの。

枝が間延びして伸びること。手入れの怠りのほか、日照不足、土壌の窒素分過多、通風不足、芽の混み合いなどが影響する。

他よりも長く伸びた勢いの強い枝のこと。不定芽が伸びたものが多く、樹形が乱れる主な要因のひとつ。

鉢ごと水に浸す灌水方法。用土全体に確実に吸水させられる。

繁殖法のひとつで、幹の途中より根を出させてから切り離して新たな素材を得る手法。うまく発根しないと失敗となるものの、足元が太く根張りのよい樹を手軽に得られやすい。

鉢の形のひとつで、角鉢の四方の角が丸みを帯びているもの。

青や白の霜降り状の模様が出た和鉢や、藍青色の釉薬を使った中国製の鉢。

磁器に釉薬をかけた中国製の鉢。

幹や枝の皮が爆ぜて荒れやすい性質のもの。

根の一部が土の上に出て露出している樹形。

鉢内に根が十分に回った状態の樹を鉢から抜き、「根鉢」の形のまま水盤上に載せてその涼しげな風情を楽しむもの。そのまま培養すると「根鉢」の表面にコケが乗り風情が増す。

水ハケが悪かったり肥料を与え過ぎたりして根が枯れること。病原菌などが影響することもある。

[主な原因]

  1. 植え替えを長く怠る、時期を誤るなど。

  2. 用土が不適切で水ハケが悪い。

  3. 肥料過多。

  4. 太根の除去。

繁殖法のひとつで、切り取った根を土に挿す手法。=根伏せ。

幹が捩れて生長する性質。北半球では大半が右巻き。南半球では逆にほとんどが左巻きとなる。

鉢に根が充満して生育が悪くなること。

お互い根がつながりながら複数の幹が立ち上がっている樹形。

地表に出た根の様で、盆栽の観賞点のひとつ。大地をつかむような力強さや安定感を表現する。

繁殖法のひとつで、根を切り取り土に挿す方法。=根挿し。

盆栽を適切に管理育成、栽培すること。

剪定のひとつで、雑木類の小枝を密生させたり葉を小さくするために葉を刈り取り、再び新葉を出させる手法。

酸化鉄の少ない土を用いた淡い黄色、または淡い灰色の中国製泥鉢。

種を播くこと。

葉の大きさ、色つやなどの性質。盆栽では葉が小さく細かいことを「葉性が良い」という。

ほかの根に比べ極端に長く伸びた根。植え替え時に短く切り詰める。

畑や挿し床などで栽培したタネ木や苗を、鉢に植え込むこと。

観賞する際に樹と鉢が調和しているかどうかを表す言葉。「鉢映りが良い(悪い)」などと表現する。

懸崖や半懸崖に見られる、鉢の縁から出た枝葉のこと。

根が四方八方に出た、安定感を感じさせる根張り。

散らずに残った花を取り除くことで、樹勢減退や病虫害を防ぐのが目的。サツキなどは結実で樹勢が落ちるのを避けるため、メシベの基部(子房)ごと爪で摘み取る。=花ガラ取り。

花になる芽のこと。植物用語では「かが」と呼ぶ。

花に観賞価値のある盆栽。

黒松や赤松の整姿法のひとつ。夏に芽切りを行った後、休眠期に古葉をすべて取り、強い芽は新葉の一部も間引くこと。

葉に水をかけること。葉の汚れを落とすのと、葉焼け防止の効果がある。

夏期の強い日差し、高温により葉の蒸散が過多となり、根からの吸水が十分でなくなった時に葉の一部あるいは全部が枯れること。

樹木は一般に、放っておくと上へ上へと伸びる性質があり、そのままだと盆栽にはならないため、針金を幹枝に巻き付けて曲りや向きを矯正し、姿を整える作業。=曲付け。

模様木より激しく幹が曲がりくねった樹形で、根元付近が太く複雑にトグロを巻いたような幹をいう。

懸崖ほど幹や枝が下に垂れず、幹枝の先端が鉢底より上にある樹形。

地表部の根が互いにくっ付いて塊になった状態。カエデ、モミジ、ブナなどに多く見られる。

主幹の傾斜とは反対方向に出ている根。

樹木の根元から出た不定芽。徒長枝になりやすい。=ヤゴ。

幹や枝が太くなる生長のこと。

その植物に適した肥料と水分を人為的に与えて栽培すること。

肥料過多により、根の周囲の水分に含まれる肥料濃度が高くなり過ぎて根を傷め、結果として生育が悪くなること。

葉が2種類以上の色で模様が入っているもの。

風になびいたように枝や幹が一方向へ傾いた樹形。斜幹より傾き具合が激しい。

通常(定芽)以外の場所から出てくる芽で、若木や樹勢の強い樹などによく見られる。樹の根元近くから出る不定芽はヒコ生えともいう。

樹の枝元に生じる弱々しい枝。庭木などでは不要枝とされるが、盆栽ではサイズと樹姿を維持するための切り戻し剪定の際に、必要不可欠な枝となることも多い。

落ち葉や小枝が堆たい積せきし、分解作用によって土状になったもの。用土であり、土壌改良材でもある。人工的に作ったものが園芸店などで手に入る。

盆栽樹形のひとつで、幹が細く枝数も少ない。無駄を削ぎ落とした姿に侘び寂びが漂う。

忌み枝のひとつ。

土や水の水素イオン濃度を示す記号。中性はpH7。酸性は7より数値が小さいが、水素イオン濃度は高くなる。アルカリ性は7より大きい数値で、水素イオン濃度は低くなる。一般に肥料、農薬を与え続けると酸性になり、石灰質のものや草木灰、燻炭などを混ぜるとアルカリ性になる。その植物に合った土壌調整が必要。

蕾を包む葉。花や花序の基部にある。

芽を出すこと=発芽。

箒を逆さにしたような樹形。特にケヤキに多く見られる。

接ぎ木の際、台木に接ぐ若芽や枝。

盆栽の正面に出た枝。忌み枝に含まれる。

樹高10センチ以下の盆栽。=ミニ盆栽。

シャリやウロなどのない、断面が丸い幹。

幹の曲がり具合。

種子を播いて繁殖させる方法。「実生3年生」とは、播種から3年目の苗を指す。イチから樹作りを楽しめるが、完成までそれなりに時間がかかる。

湿地に生える蘚苔(せんたい)類。緑色で葉は吸水力がある。園芸の保水材に利用される白い水苔は、外国産の乾燥水苔。

松類のまだ葉の開かない新芽のこと。これを摘んで芽の強さを調整することをミドリ摘みという。

果実に観賞価値のある樹種。

春先、芽に萌芽の兆しが見えること。

不要な芽を取り除くこと。

新芽を元から切り取ること。萌芽力の平均化、枝数を増やす、葉の長さを揃えるといった目的で行う。黒松では特に重要な作業で、別名「短葉法」とも呼ぶ。春に出た芽を6月下旬頃に切り、そこから出る二番芽で葉をきれいに揃えて秋以降の観賞期を迎える。芽切り後に吹く二番芽のなかから不要な芽を間引く作業が「芽掻き」となる。

春から勢いよく伸び出す新芽を摘み取り、強い枝の伸長を抑える手法。強い部分の抑制の他、枝を混ませ、葉を小さくする効果もある。

盆栽として長く培養管理を行っていくこと。「持ち込み30年」などと表現する。

植え付け時、あらかじめ用土に施しておく肥料のこと。遅効性の有機質肥料が主に用いられる。

幹が前後左右に曲がりながら上へと伸びる、盆栽ではもっとも一般的な樹形。

樹形の構成上なくてはならない枝のこと。

不定芽のなかで特に株元から生える芽のこと。徒長枝になりやすい。=ヒコ生え。

同樹種の普通種に比べ、矮化(わいか)して枝葉が小さく詰まる性質のこと。五葉松、蝦夷松、杜松など松柏類に多いが、雑木類にも見られる。

山野に自生している自然木を採取して盆栽に仕立てること。

天然の動植物を原材料とした肥料。緩行性、遅効性のものが多い。

剪定などによる幹枝の切り口が病原菌に侵されないように保護したり、カルス(植物体が傷を受けたときに傷口をふさぐために増殖する組織)の形成を促す薬剤。

葉が枝から出ている部分の付け根。葉が枝に付着する部分の股になっている部分で、ここにできる芽を腋芽という。

生長すれば葉だけをつける枝になる芽。「はめ」ともいう。

植物を栽培するための土。

葉についている柄の部分で、葉と茎との養水分の通路の役目をする。

林の風景などを表現する盆栽樹形。一つの鉢に同樹種もしくは他樹種を複数植え込む。

接ぎ木の一種で、根がついた状態の樹の枝を穂木にして接ぐ方法。適期は春で、枝の側面を削り取って接ぎ穂にし、同じように側面を削った台木と密着させると、秋までにはカルス(癒合組織)同士が癒合する。

年数を経ていない、未完成の盆栽。